幸せ半分こ
「神子!!神子!見て!!」
興奮気味に白龍は望美を呼んだ。
キッチンでお茶を入れていた望美は不思議そうに振り返る。
「どうしたの?白龍。」
淹れたての暖かい紅茶を二人分持って、望美は白龍の元へ来た。
すると、白龍は尚も興奮冷めやらず、嬉しそうに望美にある物を見せてきた。
それは。
「神子!見て!!『はーとまーく』が出てきたよ!!」
白龍が見せてくれた物とは、市販のお菓子の中に紛れ込んでいるレアモノのハート型だった。
これには、望美もビックリした顔でそれを見る。
「すごいね!白龍!!これって、なかなか見つけられないんだよ〜?」
お菓子メーカーの策略なのか、そのレアモノには都市伝説的な噂があった。
『食べると幸せになれる』
根も葉もない噂話ではあるのだが、気になってしまうのは事実で。
望美はその話を白龍に教えてあげた。
「そうだったの?では。これは神子にあげるね。」
白龍は迷う事無く望美に差し出した。
「え?でも見つけたのは白龍デショ?」
人の手柄を横取りする気なんてない。
望美は辞退する。
けれども白龍はニコニコと笑いながら。
「神子。『はーとまーく』は愛を示すものなんだよね?それなら、この『はーと』は神子にしか与えられない。」
愛する貴女だけに。
無邪気な笑顔で言われ、望美は直ぐに顔を赤くする。
小さなハートに込められた大きな愛。
ほんの些細な事でも示してくれる白龍の愛が嬉しくて、導かれるまま、望美は白龍の手からハート型のお菓子を貰った。
そして、口に運んで行った直ぐ後。
望美は白龍の唇にキスをした。
甘い、甘い、口付け。
白龍はキョトンと首を傾げる。
そんな彼から望美は恥ずかしそうに顔を離すと、
「えっとね・・・・・。幸せのおすそ分け。」
はにかみながら、そう言った。
すると、、嬉しそうな白龍は望美を抱き寄せた。
「ねぇ。神子。今度は、私の幸せを分けてもいい?」
意味を理解して、望美はコクンと頷く。
もう一度。
何度も、何度も。
甘い、甘い、口付けを繰り返す。
「こんなに分けっこしてたら無くなっちゃうんじゃない?」
望美は笑いながら問う。
「大丈夫だよ。二人だけで分け合っているから、ちょうど半分ずつだ。」
そう、白龍が言うと望美も同意したように頷いた。
めいいっぱいの幸せを半分ずつ。
あなたと共有できたなら。
きっと、もっと幸せなキモチ。
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