お正月のススメ 〜お年玉〜
年の明けた一月一日元旦。
新年の挨拶をする為に望美は有川家の呼び鈴を鳴らした。
あまり間を置かずに譲が玄関の扉を優しく開いて出迎えてくれ、
通されたリビングにはテレビの正面のソファーに陣取りお正月の特番を見ている将臣が居た。
「将臣くん、譲くん。あけましておめでとう♪」
「おめでとうございます。先輩。」
「おお。おめでとう。」
「ことしもよろしくね。」
「こちらこそ。」
形式ばった挨拶を交わし、それが何だか可笑しくて望美と譲は顔を合わせて笑った。
「そういえば皆は?」
他の八葉達は何処かと望美はリビングをグルリと見渡す。
「まだ寝てる人も居ますし。出かけた人も居ますよ。」
「へぇ。」
譲の言葉に頷きながらソファーに腰を下ろすと、
望美の鼻腔を刺激する香りに胸が高鳴る。
「あっ!お雑煮!!」
「先輩も、よかったらどうぞ。」
「え?いいの??」
「そんなヨダレ垂らしながら見てる奴が遠慮するなよ。」
「垂れてないよ〜だ。」
「どうぞ。先輩。」
「ありがとう。譲君。・・・・・・・ん〜っ。美味し〜い。」
お雑煮を食べ終えて、大満足の望美は、さっきからテレビに釘付けの将臣に声をかけた。
「ところで将臣くん。」
「あ?」
「お正月だね。」
「そうだな。」
「お正月といえばアレだよね。譲くん。」
「アレですね。」
「・・・・・なんだよ。気持ちわりぃ。」
そうして二人は将臣の眼前に手の平を差し出すと。
「「お年玉」」
将臣の目が細められ納得し得ない声で聞き返した。
「・・・・・・はぁ??なんで俺がお前らにやらなきゃなんねぇんだよ。」
「だって、将臣くん。もう未成年じゃないじゃん。」
「そうですね。20歳超えたらお年玉は上げる立場ですよね。」
望美と譲はうんうん。と互いの意見を肯定するように頷いた。
「お前らなぁ・・・・。」
将臣は呆れたようにため息をつく。
「ったく、しょうがねぇな。・・・・・おらよ。」
渋々、ズボンのポケットを探って譲と望美の手の平に一つづつ包みを置いた。
「・・・・・・・。将臣くん。」
「・・・・・・・。兄さん。」
受け取った包みには美味しそうな果物の絵がかかれていた。
「コレ、お年玉じゃなくて飴玉でしょ!?」
「ナンだよ。嫌なら他の味もあるぞ。」
ポケットから他の種類のアメを取り出して見せた。
「兄さん。正月からオヤジギャグかよ。」
譲が呆れて言うと将臣は、少しムッとする。
「うるせぇなぁ・・・・。文句あるなら返せ。」
「・・・・・私いちごみ○くがイイ。」
「俺は、こりっとれ○んに変えてくれ。」
「んなもんねぇよ。」
「じゃあ、コンビニで買ってきてよ。あと、お菓子も。」
「ついでに飲み物もよろしく。」
「ふざけんなお前ら!!」

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