第三話 救い出してくれたのは・・・・?
体も小さくなり、望美は道をズンズン進んでいった。
道は全く曲がったりすることは無く、望美はただ道なりに進む。
だが突然。
「きゃぁ!!」
何かに足を引き摺られる。
その先には何と大きな湖。
望美は血の気が引く感じがした。
「もう!離して!!!」
抵抗するも、全く歯が立たない。
望美はついに湖の中に入ってしまった。
望美の足を捕らえた物は一向に緩む事無く奥へ奥へと、望美を引きずり込む。
必死に抵抗していた望美だったが息が苦しくなってくる。
だんだん、意識も朦朧として来た。
『も。もう駄目・・・・・。』
そう思った時、途端に足の拘束が無くなる。
薄っすらと開いた目に誰かが自分を抱いて泳いでくれるのが分かった。
「・・・・・み・・・・・・・。・・・・・・子・・・・・・神子!神子!」
望美が目を開けると、悲痛な声で自分を呼ぶ声がした。
顔だけを向け、呼んでいた人を探す。
「神子!良かった。大丈夫か!?」
キレイな顔を歪め、自分を呼ぶのは
「・・・・・敦盛さん?」
望美は敦盛を確認すると同時に大粒の涙が零れた。
それを見て、敦盛は慌てる。
「神子。どこか痛むのか?」
「え?あ。違います。何だかホッとしちゃって・・・・。」
笑顔を見せながら望美は目尻の涙を指で拭った。
敦盛は「良かった。」と笑う。
どうやら望美を助けてくれたのは敦盛のようだ。
湖から岸まで上げて、濡れていた体を拭いてくれていた。
お陰で、風邪は引かなくて済みそうだ。
「でも。さっきのは何なんですか!?」
自分を湖に引きずり込んだ物は何だったのか。
望美は首をかしげた。
「神子。あれは怨霊だ。」
「怨霊!?」
「ああ。何者かがそこら中に怨霊を生み出しているようだ。お陰で此処に住まうもの達が苦しんでいる・・・・・。」
悲しげに敦盛は言った。
辺りを見渡せば木々は枯れ細り、花々はしおれている。
動物達もお腹を空かせているのか、ぐったりとして元気が無い。
「それだけではない。怨霊自身も苦しんでいる。」
敦盛の言葉に望美は頷く。
怨霊達の苦しみ。浄化だけが唯一の救いなのだと、望美はよく知っている。
そう理解した途端、望美の中の『龍神の神子』としての責任感と彼女本来の優しさが顔を出す。
「じゃあ、私。怨霊を浄化します!」
勢いよく、望美がそう言うと敦盛は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。神子。貴女ならきっと、そう言ってくれると思っていた。」
「いいえ。当然です!」
「神子。良ければ私も力を貸そう。」
「ありがとうございます。敦盛さん!」
敦盛の申し出に望美は元気よく返事をする。
と、返事をしながら敦盛を見て、望美はまたもポカンと口を開けた。
「?神子?」
「敦盛さん・・・・・・それは?」
そう望美は敦盛の頭上を指差す。
丸くて大きな耳が付いていた。
よくよく見れば、お尻の辺りからは細長い尻尾。
それはまるで。
『・・・・・ネズミさん?』
望美に言われ敦盛は自分の頭を擦る。
「?神子。耳がどうかしたか?」
当たり前のように言われ望美は薄ら笑いがこぼれる。
「??神子??」
「え〜っと・・・・。じゃ、じゃあ。怨霊を生み出している人を探しましょう!」
気を取り直して、望美は立ち上がった。
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〜あとがき〜
あっつんの頭に耳!!ヤバイ・・・・・。鼻血がっ!!
次は誰が登場するのか・・・・・。
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